2015年6月25日木曜日

憲法を遵守しなくてよいのなら、全ての法律を遵守しなくてもよいのではないか

安保法案の論議が山場にさしかかっている。かつてない期間の国会延長が決まったという。期間を延長すると、どれほどの費用が嵩むのだろう。

安保法制に関する安倍首相の説明や国会での与野党の論戦がわかりにくいと言われるが、わたしには、そうは思えない。多くの人も、そう思っているのではなかろうか。

首相や閣僚、自民党幹部の言っていることを簡潔に代弁すれば、

ボクも、ボクたちも、いつでも戦争ができる国にしたいんだよ。それだから、いまの憲法で言っていることを首相だから国会議員だからといって守っているわけにはいかないんだよ。

安倍首相の日頃の物言いを真似れば、「すぐにでも戦争のできる国に替えたいのでございます」ということだ。何も難しいことを言っているわけでも、わかりにくいことでもない。ごくごく簡単なことを言っているだけだ。ごく常識的な人間には、安倍首相も中谷防衛大臣も、高村正彦自民党副総裁も、そして、公明党も、何が言いたいのかは、すぐに理解できる。

彼らの発言を大学入試問題に出して、発言の真意を100字程度にまとめよ、と問えば、受験生の多くは、苦もなく正解を記すことができるだろう。

安倍総理は、先頭を切って憲法違反を犯そうというのだから、違憲総理と呼ぶのが相応しいだろう。そして、違憲総理を代表に抱える内閣は違憲内閣ということか。「そんなことを言ってはイケンでございます」と返されるかもしれない。

第十章 最高法規
第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
○2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

憲法が国の最高法規であることは上に記した日本国憲法第十章を持ち出すまでもない。最高法規である憲法を「尊重し擁護する義務を負う」べき地位にある者たちが率先して憲法を蔑(ないがし)ろにしている。それこそ憲法違反である。 国政のリーダーが最高法規である憲法に違反した行為を犯しても何の罪にも問われないのなら、どんな法律も意味はなく、全ての違法行為は許されることになる。こう思うのがふつうの生活者の感覚だろう。 安保法案成立にしゃかりきになっている面々は、国民の安全と平和のためだと繰り返し主張しているが、国民の安全と平和のために考えられることが戦争準備態勢を整えることでしかないようでは、全くもって幼稚で知恵も知識も働かない/働かせていないとしか言いようがない。そのことが、国民の安全と平和を奪いつつある、ということに気がつかないのか、そんなことはどうでもよいと思っているのか。

自国の憲法を遵守できない者が、国民の安全と平和を守れるはずがない。ましてや、世界の平和の維持・促進に貢献できるはずはないし、期待もされないだろう。そんな面々を国政のリーダー層として“温存”している国民は、世界中から無知で野蛮な民族と見なされるだろう。