2016年5月31日火曜日

羽生名人が失冠してしまい残念

第74期将棋名人戦で、羽生名人(45歳)が佐藤天彦八段(28歳)に負けて名人位を失った。羽生ファンの私にとって、実に残念なことである。1勝3敗で迎えた第5局は、将棋ソフトによる検討では、終盤になっても互角の評価が示し続けられたほど緊迫した勝負であった。

終盤入り口では僅差ながら先手の羽生名人が有利とする評価値が出ていたが、佐藤挑戦者は終始一貫して無理のない的確な攻防手に攻めの糸口も見いだせないままに投了に追い込まれてしまった。

これで、羽生さんは、棋聖、王位、王座の三冠に後退した。三冠でも、途轍もなく凄いことだが、防衛すれば名人10期目となって、さらに連覇をと期待していただけに、残念至極である。

羽生さんが名人位を獲得したのが23歳の時だから、佐藤天彦八段が28歳で名人位を奪取したことも驚くことではないが、正直言って、どちらが名人位が似合うかと言えば、はやり羽生さん、と言いたいところである。

でも、熱烈な将棋ファンである私は、佐藤八段が圧勝で名人位を獲得したことを快挙として素直に祝福したいと思う。

将棋界の世代交代には興味がひかれる。名人位をはじめ将棋のいずれかのタイトルをとった棋士も、年齢が上がるにつれて勝てなくなり、下のクラスに落ちていき、再度復活するのが難しくなる。

かつて「神武以来の天才」と呼ばれ、名人位ほかのタイトルを獲得し、多くの棋戦で優勝経験のあるA級在位36期を誇る加藤一二三九段(76歳)は、いまはC級2組で、前年度は10戦全敗である。その加藤九段は、最盛期よりも弱くなったとは思っていない、というようなことを言っていた。

自分より他の人が強くなったのが勝てない理由ということだが、長い期間、加藤九段の成績は下降傾向で推移してきた。これは、加藤九段の力では勝てないほどに強い棋士が多くなったのか、加藤九段が明らかに弱くなったことなのか、興味あるところである。では、羽生さんはどうなのか。いずれ、何かの形で論じてみたいと思っている。