2017年10月2日月曜日

自民党は、この際、党の綱領や党名を変更した方が良いのではないか

自民党が、自由民主党の略称であることを知らない人もいるようだ。「自由」と「民主」という戦後の日本が戦前の日本と決別したことを象徴する2文字を結び合わせて作られている。とても立派な党名であると思う。

この党名がどのようにして決まったかについては、自民党の公式サイトに次のような説明がある。

最後まで問題になったのは、新党の名称でしたが、広く党内外に公募した結果、自由民主主義を最も端的に象徴する「自由民主党」に決定しました。

自民党の公式サイトには、以下のような立党宣言も掲載されている。

立党宣言
昭和三十年十一月十五日
 政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う。
 大戦終熄して既に十年、世界の大勢は著しく相貌を変じ、原子科学の発達と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある。今日の政治は、少なくとも十年後の世界を目標に描いて、創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない。
 われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する。
 われらは、秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民主国家の諸制度を確立して、祖国再建の大業に邁進せんとするものである。
 右宣言する。

う~ん、すっばらしい!

「自主独立の権威を回復」とか、「平和の諸条件を調整確立」とか、「民主政治の本義」とか、「古き無用なるものを除き」とか、「社会的欠陥を是正することに勇敢」とか、「ひたすら議会民主政治の大道を歩む」とか、「個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本条件となす」とか、「権力による専制と階級主義に反対する」とか、「知性を磨き」とか、「文化的民主国家の諸制度を確立」とか、素晴らしいことをたくさん言っている。自民党の公式サイトの説明では、この宣言で、「自由民主政治の基本精神を明らかにしました」とある。

そして、「党のあゆみ」を説明している中には、次のような記述がある。

 「党の性格」については、(1)わが党は国民政党である、(2)わが党は平和主義政党である、(3)わが党は真の民主主義政党である、(4)わが党は議会主義政党である、(5)わが党は進歩的政党である、(6)わが党は福祉国家の実現をはかる政党である、と規定し、「綱領」には、
一、わが党は、民主主義の理念を基調として諸般の制度、機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を期する
一、わが党は、平和と自由を希求する人類普遍の正義に立脚して、国際関係を是正し、調整し、自主独立の完成を期する
一、わが党は、公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期する
と定めました。
 かくして、わが国戦後民主政治の発展に画期的な歴史を画する自由民主党の歩みは、ここに始まりました。なお、これより一カ月早く、社会党はすでに左右両派の統一をみていましたから、いわゆる保守・革新の二大政党時代が本格的に幕あけしたことになり、日本の政治は、これを契機として全く新しい前進を示すものと期待されたのです。

うーん、すばらしい。

長々と引用したが、これを読んで、いまの自民党に重ね合わせることができるだろうか。党名や国名、年号などを伏せて、どこの党のことを言っているのか受験生に問えば、どんな党名が出てくるだろうか。自民党所属議員や自民党員、自民党支持者にも問うてみたい。

あっ、一番先に安倍首相に問うたらいいのかもしれない。「これはですね、アメリカ民主党のことでございます」と言うかもしれない。また、「立党宣言」とか「党のあゆみ」、「綱領」を読んだことがあるかと尋ねれば、「つまびらかには読んではいませんが」と答えるかもしれない。

菅官房長官なら、「承知していない」とか、今の自民党とは大違いだが、と質問すると、「問題ない」と答えるかもしれない。

上で紹介した「党の性格」では、自民党は、「国民政党」であり、「平和主義政党」であり、「真の民主主義政党」であり、「議会主義政党」であり、「進歩的政党」であり、「福祉国家の実現をはかる党」だと言っている。こんな素晴らしい政党なら大歓迎だ。

ところが、まさに、羊頭狗肉という表現がぴったりのように、この何十年も、「立党宣言」や「党の性格」、「綱領」で言っていることとは正反対のことをやり続けてきた。その極みが現在の安倍政権だ。自由民主党の党名が、恥ずかしくて穴があったら入りたい、と叫んでいるにちがいない。早く党名を変えてくれ~、とべそをかいているだろう。

もっとも、憲法を踏みにじるくらいだから、「立党宣言」や「党の性格」、「綱領」なんぞを無視することくらい屁の河童なんだろう。

ということで、憲法改正を叫ぶ前に、立党宣言を破棄したり、党の綱領を改正したり、党名を変更したりすることの方が大事な大事な先決事項であることを安倍首相に日本会議が忠告してやったらどうだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿