2016年6月4日土曜日

消費税の増税再延期に対する反応やコメントに日本人の政治感覚を疑う

安倍首相が消費税を8%から10%に引き上げることを再延期したことに対して様々なことが言われているが、奇妙に思えることは、再延期が公約違反だと批判して、あたかも消費税を引き上げるべきだというような論調が多いことだ。テレビが放映した街頭インタビューでも、記者がそう仕向けたかのように、公約違反への批判めいた意見や感想ばかりが目立った。

たしかに、野田政権時代に、税と社会保障の一体改革をスローガンに、民主党と自民党が合意して消費税の段階的引き上げを決めた。しかし、消費税を5%から8%に引き上げて税収を増加させたことが、社会保障の充実へ向けた何らかの政策的効果をもたらしただろうか。その間に、年金は減額され、保育所の待機児童や保育士の待遇をめぐる問題は一向に改善されないなど、消費税増税が社会保障政策に何ら反映されることなく今日まで来ている。

その一方で、東京五輪の準備に向けてのお祭り騒ぎと競技場建設に国家予算を湯水のように使い、防衛費を増額し、毎年実施する必要もない全国学力テストや効果が無いままにダラダラと続けている少子化対策に多額の予算を投じている。財政健全化を図るといいながら、有効な手段を案出することもなく、赤字国債を発行し続けている。パナマ文書が暴露した課税逃れについても口をつぐんだままである。

すべてを社会保障費の膨張の所為(せい)にして消費税増税を進めている。たしかに、高齢化が進んで社会保障関連の政策に必要な費用は増大し続けているが、他方では、何の工夫もなく相変わらず効果の乏しい政策に膨大な予算を投じ続けている。財政健全化に本気になって取り組んでいるとは到底思えない。まずは、何でもかんでも社会保障費の膨張にして増税ありきのような子どもじみた財政政策を止めて、少子高齢・人口減少社会に対応した構造改革について政治家全員が本気になって考え、実行することである。それでこそ、真の政治家と言える。そして、国民は、そうしたことを真剣に訴えなければならないだろう。

所得税や消費税など、様々な税金が徴収されているが、国民にとっては税金は安いほどよいし、できれば税金などは無いに越したことはない。しかし、石油産油国のように、国家が莫大な収益を上げうる事業ができればそれも可能だが、そんなことは日本では望み得ない(ひょっとすると可能かもしれないが)。

税金は払うしかないが、払う側としては、納得して払いたい。バカな政治家や官僚が、どうせ自分の金ではないのだからとでも言うように、好き勝手に無駄遣いしているのでは我慢ができないのである。

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