2017年2月4日土曜日

国立大学の授業料を無料にするのに幾らの予算が必要か

大学の授業料無償化が議論されている。そのための財源として、教育国債の発行が考えられているそうだ。何でも国債としか考えつかない政治家には、「バカ」の称号を与えたらいい。

報道によると、全国の大学・短大が学生から徴収している年間授業料は約3兆1,000億円だそうだ。凄い額だ。これも報道によると、高校や幼児教育にかかる費用も無償化すると、国の負担総額は約5兆円だそうだ。「えっ、たった、それだけでいいの」とも思う。

国が5兆円負担しても、現在、学生が支払っている3兆1,000億円と親が負担している幼児教育から高校教育までにかかる費用を差し引けば、トントンか、多くても1兆円ほどが国の負担になるだけだ。学生が現在支払っている授業料や親が負担している教育費は、別の形で市場に出回ることになるからだ。学生や親にとっては教育費の負担が軽減されることになり、生活のゆとりを感じるようになり、経済を潤すこともできよう。そして、子どもの教育費に頭を悩ませることがなくなれば、出生率向上も期待できよう。

ずっと前にも書いたが(2014年8月13日水曜日)、利子付き奨学金に1兆円近いほどの財政投融資が当てられている。学生が国の投資先になっていると言うことだ。あたかも学生のためのようなふりをして、借りろ借りろと宣伝して貸し付けてきた。その結果、何百万円もの借金を背負って卒業していくことになる。本人が返済できなければ連帯保証人から取り立てる。裁判にかけてまで返済を迫る。国がやることか、と言いたい。授業料が無償化されても、それだけで学生生活を送ることができるわけではないから、奨学金制度は充実されなければならないだろう。

かつて、デンマークからの留学生から聞いた話だが、大学の授業料はないが、奨学金はあったということだ。もちろん利子付きで返済義務がある奨学金ではない。

国立大学協会がウェブ上に公開している「国立大学法人基礎資料集」によれば、2014年度現在、日本には781の大学があり、280万人が学んでいる(下の表は、上の基礎資料集から作成した)。

国立大学の一般的な年間授業料は53万5,800円だから、上の表の国立大学に在籍している学生総数59万7,674人が支払っている授業料の総額は3,202億3,372万9,200円になる。「えっ、たった、それだけ」というか、「そんなに」というかは、人それぞれだろうが、国の予算からすれば、たいした金額ではない。くだらん予算に投じている莫大な金額から言えば、幾らでも捻出できる額だろう。

これも以前に書いたことだが、授業料が1か月1,000円で無利子奨学金が1か月8,000円、寮費が3食付きで3,000円ほどの時代の国立大学に学んだ人間から言わせれば、現在の国立大学の授業料や入学時納付金の額は異常である。

国立大学だけが無償化すればよいなどとは言わないが、私立大学は、本来は、自前で経営できることを前提に設置されるべきであるから、それができないようでは建学の精神も経営姿勢も疑問とされるだろう。国からの補助金を当てにして、それを当然のように経営経費として使うことに慣れてしまい、今回の早稲田大学のように、デタラメをやっても国から多額の金額をもらおうとするのであれば、大学を経営する資格はないと言わなければならないだろう。そして、そのことを許して、ダラダラと補助金を垂れ流し、他方では国立大学の運営費を削減して混乱に陥れているような大学政策を延々と進めている。

文科省の中に、国立教育政策研究所とやらがあるが、省内天下り機関のようなもので、国の教育政策の要として機能しているとは思えない。教育政策を根本から考え直さなければならないだろう。

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