2016年7月22日金曜日

安倍政権が沖縄県を訴えるという国民無視の暴挙に

報道によると、「政府は22日午前、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し、県を相手取って地方自治法に基づく違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした」という。

報道では、「地方自治法に基づく違法確認訴訟」なんてスラッと書いてあるが、何のことかさっぱりわからないので、チョット調べてみた。この訴訟に該当する条文は地方自治法の第251条の7である。以下にそれを掲載しておく。ごく大雑把に言えば、都道府県や市町村が、国の指示に従わなかった場合に、それが違法であることを確認してもらうために裁判所に訴えることのようだ。

第二百五十一条の七  第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による是正の要求又は第二百四十五条の七第一項若しくは第四項の規定による指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の不作為(是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の行政庁が、相当の期間内に是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じなければならないにもかかわらず、これを講じないことをいう。以下この項、次条及び第二百五十二条の十七の四第三項において同じ。)に係る普通地方公共団体の行政庁(当該是正の要求又は指示があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該普通地方公共団体の不作為の違法の確認を求めることができる。
 普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をせず(審査の申出後に第二百五十条の十七第一項の規定により当該審査の申出が取り下げられた場合を含む。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
 普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をした場合において、次に掲げるとき。
 委員会が第二百五十条の十四第一項又は第二項の規定による審査の結果又は勧告の内容の通知をした場合において、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関が第二百五十一条の五第一項の規定による当該是正の要求又は指示の取消しを求める訴えの提起をせず(訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合を含む。ロにおいて同じ。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
 委員会が当該審査の申出をした日から九十日を経過しても第二百五十条の十四第一項又は第二項の規定による審査又は勧告を行わない場合において、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関が第二百五十一条の五第一項の規定による当該是正の要求又は指示の取消しを求める訴えの提起をせず、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
 前項の訴えは、次に掲げる期間が経過するまでは、提起することができない。
 前項第一号の場合は、第二百五十条の十三第四項本文の期間
 前項第二号イの場合は、第二百五十一条の五第二項第一号、第二号又は第四号に掲げる期間
 前項第二号ロの場合は、第二百五十一条の五第二項第三号に掲げる期間
 第二百五十一条の五第三項から第六項までの規定は、第一項の訴えについて準用する。
 第一項の訴えについては、行政事件訴訟法第四十三条第三項 の規定にかかわらず、同法第四十条第二項 及び第四十一条第二項 の規定は、準用しない。
 前各項に定めるもののほか、第一項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
 
法律の専門家ではない小生には、地方自治法に、こうした条文があることが不思議に思えるが、政府にとっては、誠に便利な条文であるとは言えそうだ。政府の言うことに素直に従わないとか逆らう自治体を懲らしめるための手続きを記した条文とも言えるからだ。
 
独裁国家なら、独裁者の言うことを聞かなければ、有無を言わせず強権を発動して従わせるところだろうが、法治国家では、そんなことはできない。だから、一見、民主主義のルールに則(のっと)ったやりかたで政府の言うことに従わせることができる道具として、民主主義国家の中で独裁的政治を進めたいとする政権にとっては誠に便利な条文というわけである。そして、そのことが如実に現れたのが、今回の違法確認訴訟である、と理解できるだろう。
 
ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に反対して座り込みをしている住民と侵入阻止のために置かれた車両を大勢の機動隊が寄って集(たか)って排除している様子がテレビで放映されていた。恐ろしい光景であった。
 
沖縄県民が反対している米軍基地の辺野古移設事業を力ずくで推し進めようとする政府は、国民を、国民の生活を、国民の幸福を、国民の安全と国家の平和を大切にしようとはちっとも考えていないということだ。
 
地方が自主的に取組みを進める政策を応援し、地方が主役の『地方創生』を実現しますと唱っているのは、参院選前に公表した自民党の政策パンフレットである。言行不一致もいいところである。国民のための政府ではないことに、国民は、もっと厳しい目を向けなければならないだろう。

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