2014年2月21日金曜日

冬季五輪

 冬季五輪も終盤。メダルの期待に応えた選手も、残念な結果に終わった選手も、あまり注目されていなかったのにメダルを獲得した選手も、みな一流選手。メダル獲得数や活躍する選手に関する事前の“予想”に選手も観衆も振り回されたことだろうが、超一流の選手が一堂に会して、それまでの厳しい練習の成果を全力で発揮し合うのを見るとき、人間はすごいな、と素直に思う。

 それにしても、新しい種目や競技方法が色々と出てきて、オリンピックも大きく様変わりしている。古くて頭の硬い人間には、オリンピックは、「より速く、より高く、より強く」を競う場というイメージがある。人間の限界に挑む選手の姿を見ていて、つい力が入り、奥歯をグッとかみしめたり、ハラハラドキドキする。

 そのためではないだろうが、右の奥歯が痛み出したので、きょう、歯医者に行った。朝に予約をして11時に来るように言われたので15分ばかり歩いて家族がかかりつけの歯科医院に行った。1時間ほど待たされて、まずは歯科助手のような人の問診があってから、治療台に乗った。よだれかけをされて、口をすすいで待つこと15分。きょろきょろ見回していたら、「大丈夫ですか?」と、近くの診療台で患者の口内清掃のようなことをしていた歯科助手とおぼしき人がマスクを外してニコニコ顔で近寄ってきた。「あっ、大丈夫ですよ」と返事をしたが、“この爺さん、ぼけとんのと違うか”と思ったようだ。帰ってきて妻に話したら、「じっと座っているのがふつうでしょ。そんなことする人はいませんよ」と叱られた。

 そういえば、こんなこともあった。受付で、「予約を入れていた者ですが」と言って保険証を出すと、「上がって下さい」というので、スリッパを履こうとしたら見当たらない。「あれ」と思って、キョロキョロしていると、受付嬢がカウンターを回って出てきて、「これです」と目の前の機械の赤いボタンを押した。機械の中から清潔になったスリッパが出てきた。同時に一足分出るように出口がちゃんと2つなっていたが、出てきたのは片方だけだった。すると、受付嬢はおもむろに機械の前面片方を開けて、もう片方のスリッパを取り出してくれた。「うまく出んのよ」と待合室の椅子に座っていたご老人が声をかけてきた。こんなところにも抗菌機器があるんだ、と感心したというかあきれたというか。

 あれ、話が飛んでしまった。悪い癖だ。オリンピックの競技種目のことだったな。

 競技種目に優劣はないことはわかっているが、この競技でも金メダルかと、つい競技種目を比較してしまう。「より速く」もなければ、「より高く」もなければ、「より強く」もないような気がする競技やコチョコチョとしたことを採点して優劣を決める競技というのはオリンピックの種目としてどうなんだろうと思ってしまう。

 昔、というと、またか、と自分でも思うが、トニー・ザイラーというスキーヤーがいた。当時のアルペン種目の花形、回転、大回転、滑降の3種目で金メダルを取った天才スキーヤーだ。1956年にイタリアのコルティナダンペッツォで開催された第7回大会でのことだ。ちなみに、この大会で、猪谷千春選手が回転で銀メダルをとった。冬季五輪では日本人初(アジアでも初)のメダリストになったことで知られている。

 実は、その、トニー・ザイラーのサインを私は持っているのだ。握手もした。一緒に写真を撮ることができなかったのが残念だが、札幌のデパートで買い物をしていたときに、たまたま彼のサイン会に出くわして、「おーっ」とばかりに駆け寄ってサインをもらい、握手をしたのだ。忘れられてしまったのか、ちらっと見て通り過ぎる人ばかりで、サインを求める人はほとんどいなかった。かれは机の前にぽつんと座っていた。わたしは、彼が俳優として活躍していた頃の映画も見ているから、実物(本人)を目の前にして興奮していた。何か言葉を交わしたが、寂しそうであった。かつてスキーでも俳優でも大成功をした人が、地方のデパートでサイン会をしている姿を見て記憶している人は多くはないだろう。

 妻は、札幌で滑降競技を実際にコースサイドで見ているので、そのすさまじさをよく語ってくれたが、冬季五輪の花形は、やはりアルペン競技、その中でも、回転、大回転、滑降ではないかと思う。まだ一度も放映されていないようなので、冬季五輪が開催されている感じがしない。

 森・元首相の真央ちゃんに関する発言は、彼の知性のなさを伝えるものだ。彼がかつて日本の首相であったことと、依然として政界にいること、そして、彼を東京五輪の組織委員会会長とする勢力って、いったい何なんだ。

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