2014年6月30日月曜日

STAP細胞の検証実験に小保方嬢を参加させると聞いて唖然とした

理研が次のことを発表した。長くなるが全文を転載しておく。

2014年6月30日
独立行政法人理化学研究所

STAP細胞に関する問題に対する理研の対応について

理化学研究所は今後のSTAP細胞に関する問題への対応を次のとおり行うこととしましたので、お知らせいたします。

1.「STAP現象の検証計画」への小保方晴子研究ユニットリーダーの参画について

STAP現象の検証実験を行うことについては、様々な見解がありますが、科学的事実を明らかにするために、小保方研究ユニットリーダーを相澤慎一実験総括責任者及び丹羽仁史研究実施責任者の指揮監督のもと、実験に参画させることとします。期間は、平成26年7月1日から平成26年11月30日までを予定しています。

なお、小保方研究ユニットリーダーの準備が整い次第、同氏による検証実験を行うことになりますが、その際には、研究所が指名した者が立ち会う、映像を記録する等を含め、透明性を確保した方法で行います。

2.科学的な疑義に対する調査の開始について

研究論文の疑義に関する調査報告書(平成26年3月31日)以降に指摘があった科学的な疑義を踏まえ、「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(平成24年9月13日規程第61号)に基づく予備調査を本日開始しました。

なお、予備調査の開始に伴い、研究論文の疑義に関する調査報告書(平成26年3月31日)等で認定された研究不正に基づき進められてきた懲戒委員会における審査を一旦停止します。

なお、今後も理研としての取り組みについては、随時、公表して参ります。

「検証実験を行うことについては、様々な見解がありますが」とは、何事ぞ。STAP細胞ができた、ということを報告した論文が不正だらけであったことを著者全員が(ようやくのこと)認めて撤回したのであるから、STAP細胞はなかったということが広く宣言されたことになる。STAP細胞があるかないか、できるかできないか、という問題以前に、研究不正に対する処分を下すのが、常識的に考えて、まず、理研が行わなければならないことである。

「科学的事実を明らかにするために」とか「科学的な疑義」などと尤もらしい言葉を並べているが、研究不正行為は科学的疑義でもなければ、不正行為を処分することと科学的事実を明らかにすることとは全く別の問題である。問題のすり替えである。これほど人を馬鹿にした話はない。

偽札を作った人間に、同じ方法で今度は本札を作ってみて、と言ってるのと同じということに気がつかないのだろうか。偽札を作った事実に対して罪を問わずに、前は偽札造りだったが、今度は、十分な材料と機器などの条件を提供するから本札を作ってほしいと言っているようなものだ。そして、本札を作ることができたら、偽札を作って、それを使ったことは不問に付す、ということなんだろうか。あるいは、前回作った偽札はバレバレの偽札だから、今度は、もっと精巧に、偽札とはすぐにはバレないものを作ってもらおうというのだろうか。

どうもわからない。超一流の研究者を自認している面々が下した判断とは到底思えない。やっていることは、組織ぐるみの偽装工作の何物でもない。一体、何が、ノーベル賞受賞者を理事長に頂く理研をして、こうした理不尽な行為に走らせているのだろうか。

異常事態というか非常事態というか。理研も小保方も弁護士も文科省も正気の沙汰とは思えない。懲戒審査の中断なんてことがありうるのか。まさに、宇宙人の世界だ。捏造、改竄、剽窃、偽証のオンパレードにお咎め無しという世界は、地球人の世界ではありえない。こうしたことが通るのなら、もう、規律も正義も何もない。この怒りを、どこにどうぶつけたらいいのか。

捏造、改竄、剽窃(コピペ)と不正の限りを尽くした関係者の処分を棚上げにして小保方嬢を実験に参加させることが全くもって尋常ではないが、それにもまして、尋常ではないのは、不正を行った当人が実験に参加できることに感謝を述べ、最大限の努力をすると以下のような声明(コメントを公にしたことである。

この度、改革推進本部長である理事長より、STAP現象検証実験へ参加するようにとの指示を受けました。厳重な管理の元で実験をさせていただく機会を頂戴できたことに心より感謝し、誰もが納得がいく形でSTAP現象・STAP細胞の存在を実証するために最大限の努力をして参る所存です。

なお、実験の進捗状況などにつきましては理化学研究所から公式に発表していただけると伺っております。誠に勝手ではございますが、どうか公式発表まで実験に専心させていただけますようご協力をお願い申しあげます。
 
2014年6月30日
小保方晴子
 
論文の改竄や剽窃、実験データの捏造疑惑など不正を行った当人が、よく恥ずかしげもなく、こうした声明を堂々と発することができるのは驚きを超えて唖然とするばかりである。何が、彼女をして、そうまでさせているのか私にはまったく理解できない。
 加えて、理研は、次のような「お願い」を報道機関向けに発信している。

平成26年6月30日
独立行政法人理化学研究所
 
報道関係の皆さまへのお願い

 平素は理化学研究所の研究活動に対し格別のご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

 「STAP現象の検証計画」に、小保方研究ユニットリーダーが、相澤実験総括責任者及び丹羽研究実施責任者の指揮監督のもとで、参画することとなりました。
 健康状態や安全に対する配慮が必要であり、また限られた期間での参画であることから、小保方研究ユニットリーダーへの取材、特に出勤時や帰宅時における取材はお控え下さいますよう、お願い申し上げます。
 皆様のご理解とご協力を何卒宜しくお願いいたします。

報道機関もなめられたものである、と報道機関が思うかどうかわからないが(もっとも、ろくな独自取材もせずに理研の発表だけを記事にしている報道機関なら、とくに違和感を覚えずに取材を自主規制するだろう)、こうした「お願い」を公にすることは、まさに組織ぐるみの偽装工作を文科省公認で大々的に行うと宣言したということである。

見方によっては、この検証実験の結果は、STAP細胞ができるか否かについての決定的証拠になるが、いかがわしいと思われることは、この企てが「“STAP現象”の検証計画」と銘打っていることである。STAP細胞の作成とは言っていないから、これまでの論文で示されていた方法でSTAP細胞が作成できるのかどうかを検証するのではなくて、何らかの方法でSTAP現象が観察された、ということであれば、それを成功と見做すということなのだろうか。方法は違っているがSTAP現象は起こることが確認されれば、これまでのことは全て帳消し、とでもいうのだろうか。

検証という行為自体には失敗も成功もない。“やってみなければ、わからないだろう、ということで、やってみただけだ”と開き直られれば、その結果がどうであろうと責められる筋合いのものではない、ということか。そのことを重々承知で不正を咎めることなく不正した人間を擁護することは、知性のある人間のすることではない。

あるいは、理研は、理事長をはじめとする幹部やSTAP細胞論文の不正に荷担した面々、そして、それをバックアップしている研究者や政治家、官僚は、一蓮托生の覚悟で事に当たっているのだろうか。それとも、破れかぶれで突き進めば誰も止められないとでも思っているのだろうか。それほどまでして、この検証計画を進めようとするのは、一体全体、どのような目論見があるというのだろうか。

検証計画を進めるに当たって、懲戒処分を先送りにしたことを踏まえて、“こういう結果になったら、こういう責任を取る”、ということを関係者は一筆認(したた)めてから検証実験に入るべきではなかろうか。

これまでの不正に関わる予算の使途や検証計画に多額の予算が投じられることに対する批判は多い。無駄に大金を費消しているのではないかという疑惑を抱くのは納税者の直感であろう。

事を大きくしてしまえば、これまでのことは全て小事になってしまう、ということがあってはならない。科学を隠れ蓑にして人を誑(たぶら)かすようなことは科学の世界だけではなく、常識の世界が許さないだろう。

FIFAワールドカップで日本が敗退したのは対戦相手が強かったからだ

サッカーのワールドカップで日本が予選リーグで1勝もできずに敗退したことは残念であったが、わたしは、悔しいとか戦術的にどうとか、敗因がなんちゃらとか言うつもりは毛頭無い。

負けたのは対戦相手が強かったからで、それ以外には何も言うことはないし、言う必要もない。だから、精一杯戦った選手も精一杯応援したファンも、「いやー、相手は強かったなー」と明るく感想を述べればいいのだ。

長友選手がインタビューの場で、最初はにこやかだったが、すぐに感極まったのか、泣いてしまった。色々な思いがあったのだろうが、泣いてはいけない。

ザッケローニ監督が、選手の起用と采配は自分の責任だということで、試合終了後に即座に退任を表明したのは潔すぎる気もしたが、くどくどと反省の弁などを披瀝しなかったことは、さすが名将だと思った。

世界に伍して奮戦したことを称えるべきであり、ああじゃない、こうじゃないと、反省やら批判やらを、専門家だろうと素人だろうと、わけしり顔に口にするのはいただけない。ロドリゲスの、何の気負いもなく平然とゴールを決める、あの天才的プレーに、「いやー、すっごい! さすがだ」と素直に感嘆して、「そんな選手相手に、よくがんばった。えらい!」と日本選手を褒め称えればいいのだ。

そういえば、わたしが小学生の時のことであるが、ちょっと変わっていて、生徒からも他の先生からも敬遠されていた先生のことを思い出した。筆まめというか、当時は、年賀状や暑中見舞などを書くことが大好きだった私は、その先生にも、版画刷りの年賀状を出した。覚えてはいないが、きっと、その先生向けに何か文章を書いたと思うが、折返し頂戴した年賀状に、「反省ばかりしている奴にろくなものはいない。反省からは何も生まれないと書かれていたことを覚えている。

たぶん、高学年になっていたと思うが、小学生には、すぐには理解しにくい文面であったことと、何か、すごく一人前扱いしてくれているような気がして印象が強かったので、長く記憶に残っている。その先生が、なぜ、何を思って、そうした言葉を年端(としは)もいかない生徒に伝えようとしたのかわからないが、後から思えば、きっと、そうした言葉でしか表現できない何かを体験したのだろう。それからは、反省を美徳とするような風潮に疑問を持つようになった。そして、幾ばくかは、その先生の言葉が、その後の私の生き方に影響を与えたかもしれない。

ついでに、もう一つ。その小学校の校長先生が、朝礼や何かの際など、ことあるごとに、気がついたら、気がすむまでと生徒に話していたことも記憶にへばりついている。ひょっとすると、校舎のあちこちに標語として書かれていたのかもしれない。これまで、その言葉通りには、なかなか行動できなかったが、その言葉は、ときには、なにかしようとするときの後押しになっていたことは確かである。

話が少しずれてしまったが、ワールドカップの試合の件に戻れば、相手の強さをしっかりと理解、賞賛できずに、うじうじと反省したり、また、外野がわけしり顔で批判したりしてしまうと、それまでの努力とせっかくの奮戦を台無しにしてしまい、また、同じようなことを繰り返すことになる。

優勝候補のスペインも、サッカーの本場イングランドも、強豪イタリアもロシアも予選で敗退した。勝負は、どちらかが勝ち、どちらかが負ける。負けて反省ばかりして、ひいきの引き倒しのように批判していたのでは、勝負の醍醐味が薄れるし、後味が悪い。選手は精一杯にプレーしたことを誇りに思い、ファンは精一杯応援したことで満足することが、次の試合に通ずることを肝に銘じてほしいと願う。

2014年6月28日土曜日

白川郷の合掌造り

1か月ほど前のことだが、妻と愛車を駆って白川郷に行ってきた。前々から一度は行ってみたいと思っていたが機会がなかった。ところが、運良くというか、たまたま飛騨の近くに(というほどでもないが)用事ができたので、足を伸ばしたという次第だ。

地元の人の話だと、世界遺産に認定されてから観光客が急増して賑わうようになったが、それまでは過疎の寂しい村だったということだ。ちなみに、白川村役場のホームページに掲載されている統計に基づいて観光客数と村の人口の推移をグラフにしてみた。



世界遺産に登録された1995年以降、観光客数が急増した。それまでも、年間50~60万人ほどの日帰り客があったが、高速が全線開通した2008年には176万2千人を数えるまでになった。人口1,700人ほどであるから、その千倍に当たる。単純に12で割ると1か月に約15万人になる。1日当たり約5千人である。村民の約3倍である。こんな計算が意味あるかどうかわからないが、かなりの集客数であることには違いない。

年間百万人を超える観光客が訪れる観光地は日本全国でどれくらいあるだろうかと思ってネットで調べたが、政府発行の観光白書でも都道府県単位であったり、都道府県や市町村が単独で公表していたりと、観光地別の観光客数を比較できる統計資料は見つからなかった。すぐ手に入りそうなものだが、そうした統計をまとめるのは簡単ではないようだ。そんな中で、個人で開設しているサイトで日本の世界遺産観光客数ランキングというのがあった。県や市町村などの資料に基づいた労作と言えるので、そこで示されている表を簡略化して掲載しておく。

 

第8位にランクされている。京都や奈良は別格としても、結構な数の観光客が白川郷を訪れていることがわかる。しかし、近年では観光客数がそれほど伸びてはいない。その辺りのことを、白川村のHPでは次のように記している。

観光入込み客数増加の要因として、普通車・大型車の駐車台数の増加もありますが、特に外国人観光客の入込みが昨年の数値を大きく上回った事が上げられます。その反面日本人観光客の入込みが減少していることになります。依然として、通過型観光地の脱却には及ばず、継続して村内での消費増加や滞在時間の増加・分散化を図るために、観光資源の発掘・整備、国内外への広報、6次産業化による村全体の活性化、北陸新幹線開業を見据えた二次交通の確保や北陸方面との連携を一層強化するなどの取組みを進めます。

年間100万人を超える観光客が訪れても、白川村の人口は大きく増加することはなく、減少傾向にある。これまで、白川村の人口を増加、維持させてきたのは、ダムや高速道路の建設工事に伴う一時的転入者によるものであり、世界遺産登録の効果も人口増加につながる産業の発展にまでは及んでいない。そのことを白川村のHPでは次のように述べている。少し長くなるが、充実した記述だと思えるので紹介しておく。

観光関連の施設整備が急速に進められ、村の産業構造や経済の仕組みを大きく変化させました。しかし、この第三次産業の発展は、必ずしも通年就労の場の確保にはつながっていません。安定した収入の確保、若者の村内定着を図るためには、地域資源を活用した地場産業の振興により、年間就労の場を確保していくことが重要な課題になっています。

今後、高速道路などの大規模な建設工事の終了や、国内的な公共事業の抑制により、その展望は非常に厳しいと予測されます。
第三次産業は、観光産業の発展が村内経済に潤いを与えています。しかし、反面において、その急速な発展が村の自然や社会環境にマイナスの影響を与え始めているところもあります。観光産業を除く地域小売店の経営が、村民の消費行動の多様化、広域化などに伴い、厳しい状況に置かれています。わたしたちの快適な生活環境を得るためにも、観光産業の適正な姿を模索すると共に、村内産業の調和ある姿を追求していく必要があります。

多くの観光客を集める有名な世界遺産があっても、それだけでは地域を発展させることができない難しさが伝わってくる。観光客にとっては人類が果たし、遺してきた古(いにしえ)の素晴らしい成果に接する感動を得ることができ、地元にとっては誇りではあろうが、地元には、また別の難しい課題がある、ということである。

白川郷は想像していたよりも整備されていて、何か人工的に作られた時代村の中を歩いているような錯覚にとらわれたが、それも、よく手入れされて大事にしていることからくる印象で、こちらが勝手にタイムスリップしたかのような気分になれること期待していたからだろう。展望台への循環バスの運転手さんと交わした会話も思いで深い。

た~くさんの写真を撮りました。その一部を載せておきます。ご笑覧下されば幸いです。

 
 
昼食をとったお店です。立派な合掌造りです。車を駐車しておいてかまわないと言ってくれて、村内の見所を詳しく教えてくれました。
遅い昼食に飛騨牛味噌ステーキ定食を食べました。朴葉焼きと言うそうです。とてもおいしかったです。ご飯のおかわり自由ということで、お代わりしてしまいました。客は私たちだけでしたので、お店の方が、囲炉裏を囲んで座ったわたしたち夫婦を写真におさめてくれました。残念ながら未公開です。
 
 








 
 

















2014年6月25日水曜日

サッカー FIFA ワールドカップ 日本予選敗退は残念であったが・・・

FIFAワールドカップの予選リーグで日本が1勝もできずに敗退したことは残念であったが、世界の一流選手が集い、技量と体力に飛び抜けた選手たちが全力で競い合う試合を今回もまた堪能している。サッカー観戦が趣味というわけではないが、FIFAワールドカップには特別の思い入れがある。

1998年6月10日~7月12日にフランスで開催された第16回大会は日本が初めてワールドカップに出場することになった記念すべき大会であるが、その期間、妻は大病を患って入院していた。それまでサッカー観戦などしたことのない妻であったが、6月2日に大手術をした後で、個室の病床でワールドカップの試合を放映するテレビを眺めていて、「わたしは、あと何回、ワールドカップを観戦できるだろうか」と思ったそうだ。退院後にそのこと聞いて、私は、サッカーのワールドカップに対する見方が変わった。

4年に一度開催されるサッカーのワールドカップは、そういうわけで、私たち夫婦にとって特別なのである。幸いなことに、フランス大会の後、2002年の日韓大会、2006年のドイツ大会、2010年の南アフリカ大会、そして、今回のブラジル大会も観戦できた。そのいずれの大会にも日本は出場している。妻の思いが通じていると、私は思っている。

日本は予選で敗退したが、アフリカ勢もヨーロッパ勢も選手の体格が日本選手とは一回りも二回りも上という印象が強い。胸の厚さや首回り、腕の太さなどを見ると、戦術以前の違いを痛感する。フィジカルを鍛えるとか、フィジカルで負けないように、などと言われているが、かつて私たちが教えられたサッカーならば反則になるような格闘技まがいのプレーなので、体格で劣るチームが互角に戦うには、サッカー本来のルールを厳守するようにするか、接触を一切禁じるようにルールを改正する必要がありそうだ。

2014年6月20日金曜日

STAP細胞問題への理研と文科省の対応に潜むものは・・・

今日の朝日新聞朝刊に掲載されたインタビュー記事に驚いた。

理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の竹市雅俊センター長がインタビューに対して、STAP細胞の有無に関して「結論を出すのはまだ早い」と述べ、CDBは保管している細胞などの遺伝子解析を続けており、最終的な結論は、「検証実験の結果を待つしかない」と語っている。そして、検証実験は、小保方氏と連絡を取り合って進められており、いずれ小保方さんに参加してもらう方針だと述べている。

信じがたい発言である。STAP細胞論文の不正問題に結論を出すことなく、STAP細胞の有無に問題をすり替えている。STAP細胞の有無の検証は純粋に科学的課題であるが、論文の不正行為や杜撰な管理体制は、およそ科学的課題とは無縁の問題である。そうしたことに目をつむるかのようなことを臆面もなく口にする神経は、たとえこれまでに優れた実績を積み重ねていたとしても、科学者としても管理者としても失格である。

危機に瀕して、自らと所属する組織の存続を図ろうとするのは、問題の論点をすり替えて、ひたすら自己保身に走ることしか考えずに多くの人に犠牲を強いた旧日本軍の軍人の中にも多々見られた例である。

改革委員会が提言したCDBの解体については、「解体ではなく、執行部を一新してやり直した方が、建設的な改革ができる」と訴えたという。「建設的な改革」というのは、こういう場合の常套的言い回しであるが、建設的な改革の意志も責任感もないような言動をしていて、なにをか況んや、である。

ネット上では、内部告発と見られる以下のような書き込みがあり、ブログ世に倦む日々によれば、頻繁にコピペされて回し読みされ続けているようだ。ここで、同じようにコピペするのも気が引けるが、読んでみて、コピペする価値がありそうだと思ったので、そうすることにした。

http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1402973052/810
810 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/18(水) 08:24:02.20
世に倦む日々の人、竹市のこと信用してたのね。御愁傷様。 竹市は本件をここまで深刻にした張本人です。 CDBの小保方擁護筆頭、未だに現実を受け入れられない。今日も相澤研までわざわざ小保方に会いにいっちゃったりもうホント馬鹿じゃないかと。 で、細胞の調査をすることには絶対反対ね。認めてもしぶしぶ。CDBは5月末になってやっと細胞の調査を始めたけれど、若山にプライマーの配列聞いてたから、一瞬で元のESが同定www もっと早くやってればCDBこんなことにならなくて済んだんだよ。氏ねって感じ。小保方が引っ越しのどさくさに若山の所から盗んだ細胞が箱ごと発見されたことも公表しろよ。丹羽のTSもたくさん出てきただろ。相澤も小保方さんを励ましてあげようなんて言ってるんじゃねーよ。お前、監視役として検証チームを組織したんじゃなかったのか?陰でこそこそ再現実験させてどうするつもりだ?また手品か?小保方~地獄の底はまだまだ深いぜwww


2ちゃんねる掲示板に合わせるような口調や表現が使われているが、近くにいて見聞きしていないとできないと思われるようなことが描写されていると言えるのではないだろうか。

上の書き込みに関連する記事を眺めていたら、次のような興味ある記事を見つけた。

50 : 名無しゲノムのクローンさん[] 投稿日:2014/06/18(水) 09:45:06.08
■今回の事件に関する疑惑
・補助金適正化法違反(論文捏造(国家認定済)は全額返金の対象)
・詐欺罪(捏造データで理研の地位と給料ゲット 研究費や学振費と特許出願)
・横領または背任罪(嘘の研究に公金を使用 エアラボ カラ出張?マイル横領?)
・犯人隠匿罪(理研が小保方の犯罪行為を隠蔽した)
・窃盗罪(和歌山のES 庭のTSを盗んだ?)
・偽計業務妨害罪(和歌山他世界中の機関に無駄な実験をさせる)
・名誉毀損罪(iPS勢力への冒涜)
・虚偽風説流布罪
・公文書偽造(研究費成果報告書に偽造論文(国家認定済)をのせる)
・インサイダー取引(セルシードの株価が不自然な動き)
・著作権法違反(企業の写真をパクってD論にのせる)
・動物愛護法(計画書出さずに動物実験)


小保方嬢や関係者を処分できずに必死に身内を守るかのような言動に終始していることなど、改革委員会の提言をまともに受け止めようとはしない一連の動きをこれで説明できるのではないだろうか。文科省が慌てて理研の改革を指導するためと子ども騙しのように文科省内にチームを設置したことも、これで首肯できよう。

まっとうな判断と行動で論文不正問題に決着を付け、関係者や管理者を処分することは、予算の使途をはじめ、組織そのもののあり方に直接関わる問題に波及することになる。問題がぞろぞろ出てくるに違いない。ひょっとすると、財務省や会計検査院、そして、検察も情報や資料の収集を進めているのかもしれない。おそらく、志のある若き官僚たちは、そうした問題に敏感なのではないだろうか。もう、そろそろ、文科省などからのリークがありそうだ。

不正を内部告発することは勇気のいることであるが、論点を拡散させることなく早期に問題を明らかにして的確に問題解決を図るためには最も重要なことであり、かつ最も人間的な行為である。そのためには、誰もが公益通報者保護法について知り、それに即した言動をすることである。長いものには巻かれろ式の言動で肝心な論点を見失う愚を犯すことこそ責められるべきである。

毎日新聞によれば(2014年06月19日20時06分最終更新06月19日21時56分)、理研の改革を指導するため文科省が設置したチームの座長を務めている桜田副文科相は、文科省を訪れた神戸市の久元喜造市長の「地元自治体としても引き続き神戸で再生医療の研究をお願いしたい」との要請に、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の「解体がないよう協力したい」と応え、解体に同意しない考えを示したという。

神戸新聞によれば、兵庫県の井戸敏三知事も、改革委員会の提言に対して、「センセーショナルが過ぎるのではないか」と疑問を呈し、小保方氏らについて「十分な裏付けがあったのかなかったのかという疑問を呈されることは最先端の研究にはつきもの」とした上で、一部の行為が研究所解体やセンター長解任につながるのは行き過ぎとの認識を示したという。そして、「いろんな失敗が大発見や大発明に結びつくのが、この研究の積み重ねのこれまでだったし、これからだと思う」と話し、県としてこれまで通り支援する姿勢を明らかにしたという。これに対しては、「お気楽発言ですね。『いろんな失敗』? 失敗ではなく捏造です」との発言がツイッター上に見られるが、その通りだと思う。

科学の何たるかについて何ら慮ることなく無知丸出しで権威に阿る(おもねる)かのような首長のいる県民、市民が哀れに思える。もっとも、こうしたことが、首長の見識がどの程度のものかを確認する材料になったことは幸いと言えば幸いかもしれないが、悪貨が良貨を駆逐するかのごとき反知性主義的言動の蔓延には断固として知性と良識で対抗しなければならないだろう。

2014年6月18日水曜日

若山教授の記者会見を視た-決定打とみるのが常識的理解

山梨大学の若山教授が小保方ユニット・リーダー(UL)がSTAP細胞を作成する過程で用いたマウスに関する検証結果を記者会見を開いて公表した。例によって、妻とネット中継とテレビ中継をお茶菓子を食べながら視聴した。

若山教授の説明は、私ども夫婦には超専門的で難解であったが、渡したマウスから作られたとされたSTAP細胞とやらが、別のマウスないしはES細胞から作られた疑いが極めて濃く、Nature論文で書かれていたことは虚偽であったことだけは理解できた。

洗いざらい話す覚悟で記者会見に臨んだことが伝わってきた。記者たちも勉強不足か取材不足か、どうでもいい質問を堂々とするところは、小保方譲と似ていなくもないな、とも感じた。2時間半があっという間に過ぎた。小保方嬢と笹井副センター長の会見が茶番であったことを一層印象づけた会見であった。

ひょっとすると、理研の懲戒委員会の結論が出される前に、若山教授は理研との打ち合わせの結果、この日に会見を開いたのかもしれない、と頭をよぎった。悪い意味ではなく、そうすることで、若山教授に対する懲戒委員会の結論の根拠を広く知らしめることを狙ったのかもしれない。いわゆる世間を納得させるためにだ。

理研改革委員会の格調高い報告書を事前に読んでいたので、若山教授の会見で決定打がでれば、もう、小保方ULはもちろんのこと、Nature論文の不正行為等に関わった研究者や理研の発生・再生科学研究センター(CDB)は、厳しい処分を免れないと思っていた。若山教授の説明は、申し分のない決定打ではないだろうか。これを決定打と見なせない輩は、もはや尋常ではないと考えるべきだろう。

文科省は、理化学研究所の改革を促すために指導や助言をするチームを省内に設置したという。桜田義孝副大臣を座長にして、関係各局の幹部で構成するらしい。そのチームで、理研の研究不正防止策の策定や組織改革が速やかに進むよう、理研の取り組みに指導や助言をするとのこと。あきれてものが言えない。何を今頃になって、というところだが、何か胡散臭い感じがしないでもない。改革委員会の報告の厳しさに驚いて、CDBを守るための後ろ盾をあわてて構築したとしか思えない。