2014年6月30日月曜日

STAP細胞の検証実験に小保方嬢を参加させると聞いて唖然とした

理研が次のことを発表した。長くなるが全文を転載しておく。

2014年6月30日
独立行政法人理化学研究所

STAP細胞に関する問題に対する理研の対応について

理化学研究所は今後のSTAP細胞に関する問題への対応を次のとおり行うこととしましたので、お知らせいたします。

1.「STAP現象の検証計画」への小保方晴子研究ユニットリーダーの参画について

STAP現象の検証実験を行うことについては、様々な見解がありますが、科学的事実を明らかにするために、小保方研究ユニットリーダーを相澤慎一実験総括責任者及び丹羽仁史研究実施責任者の指揮監督のもと、実験に参画させることとします。期間は、平成26年7月1日から平成26年11月30日までを予定しています。

なお、小保方研究ユニットリーダーの準備が整い次第、同氏による検証実験を行うことになりますが、その際には、研究所が指名した者が立ち会う、映像を記録する等を含め、透明性を確保した方法で行います。

2.科学的な疑義に対する調査の開始について

研究論文の疑義に関する調査報告書(平成26年3月31日)以降に指摘があった科学的な疑義を踏まえ、「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(平成24年9月13日規程第61号)に基づく予備調査を本日開始しました。

なお、予備調査の開始に伴い、研究論文の疑義に関する調査報告書(平成26年3月31日)等で認定された研究不正に基づき進められてきた懲戒委員会における審査を一旦停止します。

なお、今後も理研としての取り組みについては、随時、公表して参ります。

「検証実験を行うことについては、様々な見解がありますが」とは、何事ぞ。STAP細胞ができた、ということを報告した論文が不正だらけであったことを著者全員が(ようやくのこと)認めて撤回したのであるから、STAP細胞はなかったということが広く宣言されたことになる。STAP細胞があるかないか、できるかできないか、という問題以前に、研究不正に対する処分を下すのが、常識的に考えて、まず、理研が行わなければならないことである。

「科学的事実を明らかにするために」とか「科学的な疑義」などと尤もらしい言葉を並べているが、研究不正行為は科学的疑義でもなければ、不正行為を処分することと科学的事実を明らかにすることとは全く別の問題である。問題のすり替えである。これほど人を馬鹿にした話はない。

偽札を作った人間に、同じ方法で今度は本札を作ってみて、と言ってるのと同じということに気がつかないのだろうか。偽札を作った事実に対して罪を問わずに、前は偽札造りだったが、今度は、十分な材料と機器などの条件を提供するから本札を作ってほしいと言っているようなものだ。そして、本札を作ることができたら、偽札を作って、それを使ったことは不問に付す、ということなんだろうか。あるいは、前回作った偽札はバレバレの偽札だから、今度は、もっと精巧に、偽札とはすぐにはバレないものを作ってもらおうというのだろうか。

どうもわからない。超一流の研究者を自認している面々が下した判断とは到底思えない。やっていることは、組織ぐるみの偽装工作の何物でもない。一体、何が、ノーベル賞受賞者を理事長に頂く理研をして、こうした理不尽な行為に走らせているのだろうか。

異常事態というか非常事態というか。理研も小保方も弁護士も文科省も正気の沙汰とは思えない。懲戒審査の中断なんてことがありうるのか。まさに、宇宙人の世界だ。捏造、改竄、剽窃、偽証のオンパレードにお咎め無しという世界は、地球人の世界ではありえない。こうしたことが通るのなら、もう、規律も正義も何もない。この怒りを、どこにどうぶつけたらいいのか。

捏造、改竄、剽窃(コピペ)と不正の限りを尽くした関係者の処分を棚上げにして小保方嬢を実験に参加させることが全くもって尋常ではないが、それにもまして、尋常ではないのは、不正を行った当人が実験に参加できることに感謝を述べ、最大限の努力をすると以下のような声明(コメントを公にしたことである。

この度、改革推進本部長である理事長より、STAP現象検証実験へ参加するようにとの指示を受けました。厳重な管理の元で実験をさせていただく機会を頂戴できたことに心より感謝し、誰もが納得がいく形でSTAP現象・STAP細胞の存在を実証するために最大限の努力をして参る所存です。

なお、実験の進捗状況などにつきましては理化学研究所から公式に発表していただけると伺っております。誠に勝手ではございますが、どうか公式発表まで実験に専心させていただけますようご協力をお願い申しあげます。
 
2014年6月30日
小保方晴子
 
論文の改竄や剽窃、実験データの捏造疑惑など不正を行った当人が、よく恥ずかしげもなく、こうした声明を堂々と発することができるのは驚きを超えて唖然とするばかりである。何が、彼女をして、そうまでさせているのか私にはまったく理解できない。
 加えて、理研は、次のような「お願い」を報道機関向けに発信している。

平成26年6月30日
独立行政法人理化学研究所
 
報道関係の皆さまへのお願い

 平素は理化学研究所の研究活動に対し格別のご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

 「STAP現象の検証計画」に、小保方研究ユニットリーダーが、相澤実験総括責任者及び丹羽研究実施責任者の指揮監督のもとで、参画することとなりました。
 健康状態や安全に対する配慮が必要であり、また限られた期間での参画であることから、小保方研究ユニットリーダーへの取材、特に出勤時や帰宅時における取材はお控え下さいますよう、お願い申し上げます。
 皆様のご理解とご協力を何卒宜しくお願いいたします。

報道機関もなめられたものである、と報道機関が思うかどうかわからないが(もっとも、ろくな独自取材もせずに理研の発表だけを記事にしている報道機関なら、とくに違和感を覚えずに取材を自主規制するだろう)、こうした「お願い」を公にすることは、まさに組織ぐるみの偽装工作を文科省公認で大々的に行うと宣言したということである。

見方によっては、この検証実験の結果は、STAP細胞ができるか否かについての決定的証拠になるが、いかがわしいと思われることは、この企てが「“STAP現象”の検証計画」と銘打っていることである。STAP細胞の作成とは言っていないから、これまでの論文で示されていた方法でSTAP細胞が作成できるのかどうかを検証するのではなくて、何らかの方法でSTAP現象が観察された、ということであれば、それを成功と見做すということなのだろうか。方法は違っているがSTAP現象は起こることが確認されれば、これまでのことは全て帳消し、とでもいうのだろうか。

検証という行為自体には失敗も成功もない。“やってみなければ、わからないだろう、ということで、やってみただけだ”と開き直られれば、その結果がどうであろうと責められる筋合いのものではない、ということか。そのことを重々承知で不正を咎めることなく不正した人間を擁護することは、知性のある人間のすることではない。

あるいは、理研は、理事長をはじめとする幹部やSTAP細胞論文の不正に荷担した面々、そして、それをバックアップしている研究者や政治家、官僚は、一蓮托生の覚悟で事に当たっているのだろうか。それとも、破れかぶれで突き進めば誰も止められないとでも思っているのだろうか。それほどまでして、この検証計画を進めようとするのは、一体全体、どのような目論見があるというのだろうか。

検証計画を進めるに当たって、懲戒処分を先送りにしたことを踏まえて、“こういう結果になったら、こういう責任を取る”、ということを関係者は一筆認(したた)めてから検証実験に入るべきではなかろうか。

これまでの不正に関わる予算の使途や検証計画に多額の予算が投じられることに対する批判は多い。無駄に大金を費消しているのではないかという疑惑を抱くのは納税者の直感であろう。

事を大きくしてしまえば、これまでのことは全て小事になってしまう、ということがあってはならない。科学を隠れ蓑にして人を誑(たぶら)かすようなことは科学の世界だけではなく、常識の世界が許さないだろう。

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