2017年6月4日日曜日

加計学園がなんで獣医学部新設を申請できて、受理されたのか-加計学園は設置計画について何も言っていないという不思議

獣医学部新設をめぐって、加計学園問題が世情をにぎわしているが、マスメディアも政治家も真正面から取り上げないことは、加計学園グループの大学の実情である。

今回の騒動が起きるまで、加計学園はもとより、岡山理科大や千葉科学大学、倉敷芸術科学大学という加計学園が経営する大学が存在していることすら知らなかった。

初めて、その名前を聞いたとき、岡山理科大学は、東京理科大学の岡山キャンパスかと思ったし、千葉や倉敷に、そうした大学があることも初めて知った。そこで、少し調べてみた。

そのことについては、以前にも触れたが、文部科学省のホームページに掲載されている設置計画履行状況等調査には、上記3大学がいずれも定員割れ等の問題を抱えていて、改善が必要であることが明記されていた。

大学受験産業が提供している大学入試情報では、3大学いずれもが、入試の難易度のかなり低い大学に属することが示されている。しかし、入試の難易度が低いこと自体が問題になるわけではない。いろいろな大学があることは悪いことではない。そこでしか学べないとか、特色ある教育・研究が行われていて、そうしたところに魅力を感じる学生でにぎわっていれば-定員が埋まっていれば-素晴らしいことだ。

ところが、加計学園グループの大学は、どう考えても、そうした大学とは言えない。疑問に思うのは、それなのに、そうした大学が世界水準の獣医学部を新設するという野望を抱いた暴挙を諫めるどころか申請を奨励し、それを受理したのか、ということである。

国立大学の運営費や教員を削減する“大学改革”を積極的に進めていながら、他方では、議論の多い獣医学部新設を問題が少なくない大学経営グループに積極的、というよりは強引、というよりは強権的に認可しようとするのか。

獣医学部が足りないというのなら、実績のある既設の獣医学部の定員を増やせばよいことではないだろうか。聞くところによると、申請している獣医学部は、キャンパスも、その獣医学部だけをつくるために今治市が無償提供したという。

個別キャンパスで獣医学教育をするには、そのための施設はもちろんのこと、獣医学の専門教育を担当する教員だけではなく、いわゆる教養教育担当の教員も必要とする。施設・設備と教員スタッフをどのように揃えるのか詳細は分からないが、国費からの相当規模の補助金が提供されることを見越していることであろう。

加計学園のホームページを見ても、獣医学部設置計画に関する記述はどこにも見当たらない。それどころか、事業計画について平成28年度までについては、上記3大学が個別に詳しく記しているのに、平成29年度に関しては、既に6月というのに、記載されていない。あえて記載していないのだろうか。何か隠しているような印象を受ける。

岡山理科大学の平成28年度の事業計画を見ると、「平成29年度に・・・新たに経営学部経営学科の開設を計画しています。・・・文部科学省に対し平成28年4月に設置届出を行います。なお、入学定員が130名となるため、平成28年3月に収容定員増の認可申請を行いました。・・・ビッグデータコースを立ち上げ、20名の定員増を行います。・・・定員増のほか、理学部・・・において、平成29年度より入学定員増を行います。大学全体で185名の入学定員増となります。平成28年3月に学則変更認可申請書類を提出しており、6月認可を予定しています」と、かなり詳しく書いてある。こうした拡大策を展開できるのはなぜだろうか。不思議である。

それにしても、獣医学部新設は、加計学園にとっては一大事業だと思うが、そのことに一切触れていないのは、とても奇妙で、不気味で、うさん臭いと思わないではいられない。誰も指摘していないのも、不思議である。何か、後ろめたいことがあることを告白しているようなものではないだろうか。
 
獣医学関係でいえば、山口大学が、「大学院共同獣医学研究科の設置構想について(平成30年4月設置予定)」の記事をホームページに掲載している。これが、意気込んで新設組織を設置しようとする場合に大学が示す普通の態度だろう。

このように見ていけば、進行中の加計学園問題が政治的一大スキャンダルであることは誰にでもわかる。それは政治的な暗躍(人に知れないように活動すること。ひそかに策動すること:広辞苑)ではなくて、まさに強権政治による“悪だくみ”である。そして、それは、何もかも知っていながら、平然とことを進めようとする嘘つきでたらめ集団による共謀がなせる業(わざ)である。

この問題を軽く見てはいけない。そこには、国の命運を左右するほどの大きくて邪悪で、薄汚れてどす黒い病んだ精神が跳梁跋扈しているのである。退治しなければ、世も末、になってしまう。

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