2017年8月6日日曜日

2017年広島平和記念式典を視聴して


被爆72年になる今年の広島平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)をRCC(中国放送)テレビ公式YOUTUBEで視聴した。 1時間があっという間に過ぎた。

原爆ドームや原爆資料館は何回か訪れたことがあるが、式典には参列したことはなかったので、1週間前には、式典に参列するつもりで宿泊先を探すなどしていたが、猛暑の中で体調に自信がなくなったために中止した。来年は体調を整えて妻と参列しようと思う。

6年生男女の子ども代表による平和の誓いには心を打たれた。大きな声で、心を込めての訴えに比べて、安倍首相の、まさに口だけの挨拶には、やっぱりな、としか感想がない。

諸大臣や自民党の幹部を引き連れているのに、政府代表として平和を全力で守るための具体的施策を国民に、世界に力強く伝えることはなかった。日頃から言ったりやったりしていることが平和への取り組みとはとは程遠いことばかりだから、新鮮味のないあいさつ文を、ただ読むことだけしかできないのも無理もないことか。

松井一實・広島市長による「平和宣言」でとくに印象に残ったところを以下に摘記しておく。

為政者の皆さんには、特に、互いに相違点を認め合い、その相違点を克服するための努力を「誠実」に行っていただきたい。また、そのためには、核兵器の非人道性についての認識を深めた上で、自国のことのみに専念して他国を無視することなく、共に生きるための世界をつくる責務があるということを自覚しておくことが重要です。

特に、日本政府には、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。」と明記している日本国憲法が掲げる平和主義を体現するためにも、核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい。また、平均年齢が81歳を超えた被爆者をはじめ、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々に寄り添い、その支援策を一層充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めます。

湯崎英彦・広島県知事の「あいさつ」でとくに印象に残ったところを以下に摘記しておく。

昨年,オバマ大統領は,ここ広島で,未来において,広島と長崎が,核時代の始まった場所ではなく,人類が道徳的に目覚めた場所として記憶されなければならない,とスピーチされました。その後,私たちはどれだけ歩みを進められたでしょうか。

日本政府には,この地獄の現実を潜(くぐ)り抜けた唯一の国として,そのリーダーとなっていただきたい。核兵器国と非核兵器国の分断を埋め,核兵器廃絶への道のりを全ての国の力で進んでいくために必要な,具体的な提案と行動を提示することをお願い申し上げます。

私たちはオバマ大統領が指摘したように,恐怖の論理,すなわち神話に過ぎない核抑止論から脱却し,「核兵器のない平和」というあるべき現実に転回しなければなりません。


オバマ大統領のかつてのスピーチは触れられたが、安倍首相の言動は何ら触れることもなかったことは象徴的である。特別席(特等席)に鎮座していた安倍首相や閣僚らはどう思ったであろうか。恥をさらしていることに、その場から逃げ出したくなったのではないだろうか。そんな気持ちにもならなかったとしたら、平和を口にする資格はないだろう。

中日新聞の2017年8月7日朝刊には、以下のような記事が載っていた。

松井一実市長は平和宣言で、七月に採択された核兵器禁止条約に触れ、核廃絶への取り組みをさらに前進させるよう各国に提唱。日本は条約に不参加で、安倍晋三首相は式典でのあいさつでも条約に言及せず、式典後の面会で被爆者団体が「怒りを込めて抗議する」と直接批判した。

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