2017年8月9日水曜日

長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典:田上富久・長崎市長による「長崎平和宣言」は素晴らしい

昨年と同様に、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典における田上富久・長崎市長による「長崎平和宣言」は素晴らしかった(長崎市のホームページに全文掲載)。その一部を以下に掲載する。

 核兵器を持つ国々と核の傘の下にいる国々に訴えます。
安全保障上、核兵器が必要だと言い続ける限り、核の脅威はなくなりません。核兵器に よって国を守ろうとする政策を見直してください。核不拡散条約(NPT)は、すべての
加盟国に核軍縮の義務を課しているはずです。その義務を果たしてください。世界が勇気 ある決断を待っています。
 日本政府に訴えます。 核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加 しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の 参加を国際社会は待っています。
 また、二度と戦争をしてはならないと固く決意した日本国憲法の平和の理念と非核三原 則の厳守を世界に発信し、核兵器のない世界に向けて前進する具体的方策の一つとして、
今こそ「北東アジア非核兵器地帯」構想の検討を求めます。


そのあとに挨拶に立った安倍首相は、広島平和記念式典の時と同様に誰が書いたかわからないような文章を朗読し、口先だけで「真に「核兵器のない世界」を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要です。我が国は、非核三原則を堅持し、双方に働きかけを行うことを通じて、国際社会を主導していく決意です」と読み上げた(全文は首相官邸のホームページ参照)。

そして、こんなことも読み上げた。

昨年、オバマ大統領が、現職の米国大統領として初めて、広島を訪れ、被爆の実相に触れ、核を保有する国々に対して、核兵器のない世界を追求する勇気を持とうと力強く呼びかけました。核を保有する国の人々を含め、長崎・広島を訪れる世界中の人々が、被爆の悲惨な実相に触れ、平和への思いを新たにする。若い世代が、被爆者の方々から伝えられた被爆体験を語り継ぐ。政府として、そうした取組をしっかりと推し進めてまいります。

広島平和記念式典では広島県知事がオバマ大統領の広島訪問について再三触れていたが、安倍首相もオバマ大統領に言及した。広島県知事がオバマ大統領の広島訪問に触れたのは、安倍首相への皮肉を込めたメッセージと私は理解しているが、安倍首相は、“じゃ、俺も負けずにオバマ大統領に触れておこうか”ぐらいにしか思っていなかったのだろう。

オバマ大統領が「核を保有する国々に対して、核兵器のない世界を追求する勇気を持とうと力強く呼びかけました」と言っているにも拘らず、日本は、世界で唯一の被爆国であるのに、長崎市長が言うように、「核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加 しない」。言うことは言うが、やることをやらない。言行不一致の典型だ。

NHK の長崎NEWS WEBでは、次のようなことが報じられている。

長崎の被爆者団体の代表が、平和祈念式典のあと、安倍総理大臣と会い、日本政府が核兵器禁止条約の交渉に参加しなかったことに対して長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長は、核兵器禁止条約の交渉に日本が参加しなかったことについて「あなたはどこの国の総理大臣ですか。私たち被爆者を見捨てるのですか」と述べて、抗議しました。長崎県被爆者手帳友の会の井原東洋一会長は「政府は、これまでも現実的な対応と言ってきたが、その成果はまったく見られない。条約に参加しないことに詭弁を弄しているとしか思えない」と話していました。

これが被爆国の首相なのか、となさけなくなる。舌先三寸(くちさきだけで心のこもらない言葉:広辞苑)を連発する安倍首相には閻魔大王を差し向けるしかないようだ。

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