2017年9月18日月曜日

最善の安全保障策は優れた政治家を選ぶことだ-老人よ覚醒せよ




報道によれば、9月15日早朝に北朝鮮がミサイルを発射した3分後の午前7時にJアラート(全国瞬時警報)が12道県(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県)の617市町村という広範な地域に発信され、「建物の中、または地下に避難してください」と呼びかけられたそうだ。そして、その7分後に、「ミサイルは北海道地方から太平洋へ通過した模様」と伝えられたそうだ。

当該12道県の総人口は、2千5百47万9千人(2016年:総務省統計局:2017年4月14日公表)である。早朝であるとはいえ、通勤・通学での人の移動を考えると、当時、当該道県にいた人の数は人口統計の数字とは異なるだろうが、2,000万人を優に超える人々が一斉に避難行動をする姿が想像できない。

実際にどのような避難行動をしたか報じられていないから何とも言えないが、Jアラートを発した政府は、Jアラートを発するたびに、発せられた地域の人々が本気になって対応をしたら、どれだけ混乱が生じるか慎重に検討しているのだろうか。

もっとも、北朝鮮のミサイルの発射に際してJアラートを発しても、国民の多くはミサイルが日本を直撃するなどとは考えていなくて、安倍政権お得意の無思慮で頓珍漢な自分よがりの無策に等しい駄策悪策(造語です)とみなして普段通りの生活を粛々と営むだろうから、まあ、Jアラートを発して広範囲に避難を呼びかけても許してくれるだろうぐらいにしか思っていないのだろう。その証拠に、安倍首相はじめ政権の面々は、Jアラートを発していながら、どんな行動をとっていたのだろう。大騒ぎの割には、特に変わった様子も報道されていないような気がする。

北朝鮮のミサイル発射に危機感を煽り続けている安倍政権だが、13日から15日にインドを訪問して、昭恵夫人とともにインドの衣装を着てパレードをしてもらい、名所旧跡を案内されてご満悦の日々を過ごしている。何とも違和感を覚え、とても恥ずかしくなる光景である。いい気なもんだ、というのが率直な印象である。以下の写真は首相官邸のウェブサイトから。動画は、こちらから。








インド訪問では、外務省のウェブサイトに以下のようなインドに対する経済協力(円借款及び無償資金協力に関する書簡の交換)の内容が掲載されている。

円借款案件の概要及び供与条件案件の概要
(1)ムンバイ・アーメダバード間高速鉄道整備計画(1,000億円)
この計画は,マハラシュトラ州ムンバイからグジャラート州アーメダバード間において,日本の新幹線システムに基づき,高速鉄道及び研修施設を建設することにより,大量かつ高頻度な旅客輸送システムの構築を図り,もってインド国内広範囲における効率的な旅客輸送システムの実現を通じて,連結性の強化に寄与することが期待されます。
(2)グジャラート州アラン及びソシヤ地区シップリサイクル環境管理改善計画(85億2,000万円)
この計画は,グジャラート州アラン及びソシヤ地区において,シップリサイクル(船舶の解体・撤去)関連施設等を改善し国際条約に適合するシップリサイクル方法を導入することにより,シップリサイクルにおける環境管理及び労働衛生管理の改善を図り,もって同国の環境保全と持続的産業発展を通じて,産業競争力の強化及び持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。
(3)北東州道路網連結性改善計画(フェーズ2)(386億6,600万円)
この計画は,インド北東州地域において,国道40号線の改良及び国道54号線のバイパス新設等を行うことにより,同地域内及び国内外他地域との連結性向上を図り,もって同地域内の経済開発を通じて,連結性の強化に寄与することが期待されます。
(4)コルカタ東西地下鉄建設計画(第三期)(259億300万円)
この計画は,西ベンガル州のコルカタ都市圏において,大量交通輸送システムを建設することにより,増加する輸送需要への対応を図り,もって同都市圏の交通混雑の緩和と交通公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善を通じて,産業競争力の強化に寄与することが期待されます。
(5)グジャラート州投資促進プログラム(168億2,500万円)
この計画は,グジャラート州において,財政支援を通じて海外直接投資等の民間投資促進や産業振興,産業人材育成に関連する政策・制度の改善を促すことにより,同州の道路,電力,水道等のインフラ投資環境の整備を図り,もって同州に対する海外直接投資等の民間投資増加を通じて産業競争力の強化に寄与することが期待されます。

円借款案件の供与条件
 上記(1)

  (ア)金利年0.10%
  (イ)償還期間50年(15年の据置期間を含む。)
  (ウ)調達条件タイド
 上記(2),(3)及び(4)

  (ア)金利年1.20%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
  (イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
  (ウ)調達条件一般アンタイド
 上記(5)

  (ア)金利年0.60%
  (イ)償還期間15年(5年の据置期間を含む。)
  (ウ)調達条件一般アンタイド
無償資金協力案件の概要
   ヴァラナシ国際協力・コンベンションセンター建設計画(22億4,000万円)
この計画は,ヴァラナシ市において国際協力・コンベンションセンターを建設することにより,国内外の人的・文化的交流の促進を図り,もって観光分野の振興を通じた産業競争力の強化に寄与することが期待されます。
円借款は合計で1,899憶1,400万円に上る。償還期間は最長50年である。無償資金協力も少なくない金額である。

日本が、多額の国際援助をしていることはよく知られている。JICA(国際協力機構)の2016年の『年次報告書』(2015年度実績)を見ると、世界150か国・地域に対する資金援助は以下のようである。

〇日本全体のODA実績(暦年実績。支出総額。東欧・卒業国等への支援を含む) 1兆8,351億円
〇 JICAの技術協力事業等の経費実績(資金協力・管理費を除く) 1,917億円
〇 JICAの有償資金協力実績(新規L/A承諾) 2兆2,609億円
〇 JICAの無償資金協力実績(新規G/A締結) 1,117億円


そして、これまでの累積金額は、33兆2,972億円と記されている。また、無償資金協力案件一覧(2015年度実施分)には、154件(58カ国・地域)に 1,116憶8300万円とある。

国際協力に多額の金額を国家予算から支出することに文句を言おうとするわけではない。日本が途上国の発展に協力することは大いに進めるべきである(その方法や多額の資金の使い方、援助の仕方に問題がないわけではないが)。しかし、である。

安倍首相が、国内の経済、政治にデタラメばかりを繰り返して問題を起こし、解決に何らの方策も講じず、責任も取らずに、いけしゃあしゃあ(人にどう思われようが、つら憎いまで平気でいるさま:広辞苑)と得意になって国際協力に大盤振る舞いをしていることは何ら褒められたことではないばかりか、許せないことである。

北朝鮮の脅威を煽り、戦争準備をするがごとくに防衛費を増額して、アメリカから兵器を高額で購入する。Jアラートで国民の命を守る振りをする。Jアラートが発せられたら、建物の中や地下に避難し、近くに建物や地下が無い場合には、頭を抱えてうずくまるように勧める。ミサイルや核兵器の脅威を煽ることと勧めている避難の仕方との落差の大きさには呆れるというか国民をおちょくるのもいい加減にしろ、といいたい。

このブログで前にも書いたが、技術的に詳しくなくても、超高速で超高空を飛ぶ大陸間弾道弾(ICBM:intercontinental ballistic missile)を空中で迎撃することは至難の業であることはわかる。技術の粋を集めて迎撃兵器を作ったとしても、そして、また、それを購入して配備したとしても、お守りやおまじない程度の気休めになったとしても、防衛には何の役にも立たない。作ることと、その兵器が有効であることは別問題である。

もし、迎撃兵器が目的通りに機能するならば、誰も攻撃用のミサイルを飛ばそうなどと考えるわけがない。攻撃用ミサイルは全くの無駄になるだけだからである。迎撃兵器が役に立たないことが明々白々だから、攻撃ミサイルを夢中になって開発しようとするのである。こんな常識的なことがわからないとすれば、クルクルパーである。

野球では、3割打者は好打者である。たった3割しか打てなくても誉めそやされる。それだけ投手有利で打者不利のゲームである。打ち損じの方が7割と遥かに多くても許されるどころか感心される。抗がん剤の奏効率の基準は2割と言われている。ここでいう奏功(効果が現れること)とは、がんが縮小することで、完治したことではない。抗がん剤治療が開始されてから4週間の間に、その治療を受けてがんが50%縮小した患者の割合が2割ということである。これでも、その抗がん剤は奏効率が高いと判断される。

迎撃ミサイルや政府が推奨する避難の仕方の奏効率がどれほどだがわからないが、大量殺戮兵器の奏功率は極めて高いことだけは過去の数々の実例を挙げるまでもなく、誰でもがわかっている。高度の兵器を用いるときには、攻撃有利・迎撃不利、しかも、圧倒的に攻撃が有利である。武力で防衛するということは、迎撃用兵器を配備することことではなくて攻撃用兵器を大量に抱えることである。いまの北朝鮮は、その好例である。北朝鮮が迎撃用兵器を配備しているということを聞いたことがない。

では、なぜ、役に立たない迎撃兵器などを考案したのだろうか。答えは簡単である。本当は、誰も大量殺戮兵器など使いたくはないからである。もし、攻撃ミサイルを完全に迎撃できれば、他国をミサイルで攻撃しようなどと思わなくなるだろうという期待というか幻想があったからだろう。だから、とにかく迎撃ミサイルを作って配備することが目的になったのである。しかし、迎撃ミサイルの性能向上は、攻撃ミサイルの性能向上を上回ることができないことも明らかになった。

もう、ここまで言えば、膨大な国家予算を投じて武力による安全保障を図ろうとしても、そんなことは何ら安全保障の手段になり得ないと結論付けるほかはないだろう。建物や地下に入ったり、頭を抱えてうずくまることを避難訓練で体得しても、身の安全を守ることはできないのである。

避難訓練に精を出すことよりも、武力に頼らず、真に平和を愛し、国民の安全と幸福を願い、諸外国から羨望のまととなるような豊かで平和な国づくりに平和憲法を武器にして懸命に取り組む頭脳明晰で不正を許さない優れた政治家を選ぶことこそが、国の安全保障にとって最も賢明で有効な方策であろう。

学校では、ミサイル着弾に備えて生徒に役にも立たない避難訓練させるよりも、真に平和を愛する政治家とはどんな人物かを教えることの方が遥かに生徒の安全につながり、恒久平和の担い手を育成することになるだろう。

どの選挙でも常に高い投票率を示し、有権者の中でも次第に高い割合を占めるようになって来た高齢者には、平和国家を維持・発展するためには、どのような政治家を選ぶべきか手本を見せてほしいし、高齢者には、そうすることが次の世代に対する責任であることを肝に銘じてもらいたい。クルクルパーが寄って集(たか)って軍事国家にしようとしている現在の日本を座して見ているのは、次世代に対する責任放棄であるだけではなく、犯罪に加担するようなものである。

そんなこと言ったって、攻撃されたらどうするんだよ、という声が出そうだが、攻撃されたら、その時点で負けである。攻撃されないように、戦争は、勝者も敗者もなく悲惨な結果だけが残る忌まわしいものであることを知らしめることができなければ、政治家は、政治家として失格であることを肝に銘じなければならないし、国内外に向けてそうした説得ができない政治家を選んだとしたら、それは国民の責任であり、大恥である。

折しも、安倍首相は、衆議院の早期解散を決めたそうだ。森友問題や加計問題、南スーダンの日報問題など、何一つ責任をとることもなく、支持率が幾分かは回復したからといって、内閣改造をしたばかりで、「仕事人内閣」だとか「人づくり革命」だとかぶち上げといて、何の仕事もしないままに解散総選挙に多額の公金を消費しようというわけである。最後まで無駄遣い内閣を押し通そうというつもりなのか。

総務省の「平成25年行政事業レビューシート」によれば、平成24年12月16日に実施した第46回衆議院議員総選挙では、587億5,300万円が使われている。今回も同程度か、それを上回る税金が不正隠しと自己保全のための総選挙で使われる。こんな政権を平気で見逃すとしたら、国民は自分の首を絞めるだけだ。

国民を愚弄した悪政をし続けてきて何ら責任を取ることもせずに舌先三寸で言い逃れてきた安倍政権を許して脳天気のままに税金を払い続けることができるとすれば、まさに正気の沙汰ではないだろう。国民の正気を取り戻すために、老人よ覚醒せよ

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