2017年4月17日月曜日

戒名を自分で作ってみた

ふと、思い立って、戒名を自分で作ってみた。これまで、幾度となく肉親や親族の葬式で戒名に接してきた、というよりは、何かと煩わしさと疑問に思うところが多々あったことと、つい最近も親族の葬式で戒名が話題になったからだ。

広辞苑には、戒名とは、「受戒の際に、出家者あるいは在家信者に与えられる名」であって、「本来生前に与えられるものであるが、平安末期から死者に対して与えられるようになった」とある。

戒名というのは、死ぬと坊さんが付けるものと思っていたが、「本来生前に与えられるものである」ことを70歳近くになるまで知らなかったとは不覚であった。

インターネット上の記事で知り得たことだが、戦国時代の武将は、いつ命を落すかもしれなかったことから、 生前に戒名を授かり、それを呼称として用いていたそうだ。有名なところでは、武田信玄の「信玄」や上杉謙信の「謙信」などは戒名だそうだ。知らなかった。

よく引き合いに出されるのは、立川談志が生前に自分で付けた戒名だ。「立川雲黒斎家元勝手居士」(たてかわ うんこくさい いえもと かって こじ)とは、希代の落語家としての面目躍如だ。もっとも、戒名は自分で付けることもできるとはいえ、寺によっては、そうした戒名は受け付けないこともあるそうで、彼の場合は、それを受け入れてくれる寺に葬られたそうだ。

葬式もしない、納骨もしない、ということであれば、そんな気遣いをせずに自分で戒名を作ればよい、ということで、自作することにしたわけだが、宗派によっても、戒名のタイプがいろいろと違うそうだ。インターネット上には、そうした情報が溢れていて、戒名作成ソフトのようなものもあって驚いた。

我が家は、一応、曹洞宗ということだから、それらしいものを作った。ここで公表するのは憚(はばか)れるので内緒にしておくが、複数作ってみた。複数あってもいいんじゃないかとおもったからだ。〇〇別名△△というわけだ。自作だから、思い切って最高ランクの戒名に、ということで、「〇〇院▢▢△△大居士」と「〇〇〇▢△△大権現」とした。

「権現」は神号だそうだから、一般には戒名には用いないようだが、徳川家康の戒名が東照大権現安国院殿徳蓮社崇譽道和大居士だそうだから、まあ、恐れ多いこととは知りながら、ちょっと拝借、ということで許してもらおう。

広辞苑に、戒名とは、「受戒の際に、出家者あるいは在家信者に与えられる名」とあることは先ほど記したが、ついでに広辞苑で「受戒」を引くと、「仏門に入るものが仏の定めた戒律を受けること」とあった。

私は、出家者ではもちろんないし、在家信者というわけでもないから、受戒しているわけでもない。また、戒名とは、「生前に信仰の厚い、またはお寺や社会に貢献した故人が仏門に入ったことの証としてつけられる名前」という記述もネット上にあったが、どれも私には当てはまらない。

俗名が生前の名前で、戒名は死後の名前くらいにしか思っていなかったから、死後に自分が知らない名前だと、三途の川を渡るために順番待ちしていて、自分の番が来たときに、他人が勝手に(と言ったら語弊があるかもしれないが)つけた戒名で呼ばれても自分のこととわからないじゃないか、という実にくだらない無用の心配から、自分で戒名を作ろうと思った、ということだ。それと、聞くところによれば、坊さんに戒名を作ってもらうと何十万円もかかるということで、こりゃ大変、と思ったからだ。

「ギヨエテとは おれのことかと ゲーテ云ひ」(斎藤緑雨:1868<慶応3>年-1904<明治37>年)。ゲーテ(Goethe:1749~1832)は、「若きウェルテルの悩み」や「ファウスト」で知られるドイツの詩人で作家、劇作家だが、かつて日本では、ゲーテをギヨエテと呼んだことがあることをからかった川柳だ。

かつてのアメリカ大統領ドナルド・レーガンも、日本では、新聞などで当初はリーガンと読んでいたと記憶している。リーガンとは誰のことかとレーガン言い、ということになる。

アリストテレスも、英語では、Aristotle (アリストートル)だし、プラトンはPlato(プレイトー)だ。ドイツ車フォルクス・ワーゲン(Volkswagen)は、原語ではフォルクス・ヴァーゲンだ。

厄介なのは、漢字を使う中国や韓国、朝鮮の人名だ。毛沢東は、日本では、「モウ・タクトウ」だが、原語読みではMao Tse-Tung(マオ・ツォートン)で、英語圏では、Maoとするのが通例だ。習近平は、「シュウ・キンペイ」と呼び習わされているが、原語読みでは、Xí Jìnpíng(シー・ジンピン)だ。シュウ・キンペイとは誰のことかと習近平言い。アーペイチンサンとは誰のことかと安倍晋三言い。

韓国、朝鮮の人名は、かつては日本語読みしていたが、近年では原語読みすることがほとんどだ。古い人間には、金日成(キン・ニッセイ)や朴正煕(ボク・セイキ)と聞かされていたが、現在では、朴 槿恵(パク・クネ)や金正恩(キム・ジョンウン)と原語読みしている。

Japanも外から付けられた国名だが、現在では、日本人も、日本のことを英語ではJapanとふつうに呼んでいる。これに対しては、外国から押しつけられたと騒ぐ改憲派も、改称しろとは言わない。

あの世では、各国、各民族入り交じっているだろうから、〇〇とは誰のことかと△△が言い、と大混乱していることだろう。

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