2017年4月22日土曜日

「ほぼ現役世代」とは何のこっちゃ-「ほぼ政治家」のたわごと

報道によると、自民党のプロジェクトチームは、日本老年学会などが高齢者の定義を「75歳以上」とすべきだとの提言を受けて、70歳までを「ほぼ現役世代」とし、この年齢まで働ける社会にすべきだとする提言の骨子案をまとめたそうだ。

報道の要約で申し訳ないが、その骨子案では、65歳までを「完全現役」、定年から70歳までを「ほぼ現役世代」として、それまでの経験を生かして地域と一体となった仕事や社会活動に参加してもらうということだそうだ。そして、そのために、公的年金の受給開始時期を遅らせると受給者に有利になるような政策を検討することなどをプロジェクトチームの上部組織である「一億総活躍推進本部」の提案として政府に提言するとのことである。

このブログでも書いたが(2017年1月6日)、予想通り、老年学会などが高齢者の定義を75歳以上としたことの“効果”が早速でた。

平成28年度版の『厚生労働白書』では、「生涯現役社会」の実現が唱われているが、上の「ほぼ現役世代」や「一億総活躍」も同じように、とにもかくにも、公的年金はじめ社会保障関係費の支出をいかに抑制し、削減するかが政府の狙いなのである。

なぜ、社会保障関係費の支出を抑制、削減しようとするのか。もっともらしい理由は、人口が急速に高齢化していて、退職世代の割合が増大し、働く現役世代の割合が減少しているから、社会保障費が国家財源を圧迫する、というものである。

しかし、しかし、である。そんな理由は子どもでもわかる。そして、自民党がプロジェクトチームとやら大げさな組織を作って、どれだけ時間をかけてどんな議論をしたか知らないが、年をとっても年金を受け取らずに働け、という提案を出すに至った、というのでは、子どもでも考えつくことにすぎない。何を議論していたのか。お粗末の一言に尽きる。

ここで、考えなければならないことは、社会保障費が国家財源を圧迫することが問題なのか、ということだ。

年金の減額や高齢者に対する医療費や介護保険料、介護費の負担増などが着々と進められている。そして、他方では、国家予算窮乏とはとても言えない金遣いをしている。

軍事費や軍事研究のための予算が大幅に増額されている。首相夫人ということだけで、有閑マダムの遊びに王妃の下僕のごとくに国家公務員を秘書として付き添わせている。

東京五輪の開催のために大見得を切って莫大な費用を浪費している。原発事故の後始末に事故の責任を問うことなく効果のない対策に莫大な費用を湯水のように使っている。

大企業優遇策として企業税の軽減を図り、パナマ文書が暴露したように、税逃れを放置していて税収の増加を本気になって図ろうとしていない。ただ消費税増税という手軽な政策で弱いものいじめをしているだけだ。

ほぼ政治家」は、国家の将来と国民の福祉を考えた財政改革に命がけで取り組むなんてことはしようとしない。民が温和(おとな)しいことをいいことに、民を愚弄する愚策と悪政しかできないことが、「ほぼ現役世代」などという戯言(たわごと)になって表れた、ということだ。あほくさい。

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