庭の山桜が伸びて電線に引っ掛かりそうになったので、脚立を使って門柱に上り、高枝切りばさみを目一杯伸ばしてバツバツとたくさん切った。この月曜日のことである。
私は、せっかく伸びた枝を切るのは好きではないので、どの庭木でも、できれば伸ばしっぱなしにしたいところだが、妻は木が繁茂すると隣近所に迷惑がかかるとか見栄えが悪いということで私が見ていないところで剪定している。そして、私がそのことに気がつくと一悶着が起きる、というのが、もう何十年来となく続く夫婦の唯一の食い違いである(と私は思っている)。
とはいうものの、今回ばかりは妻の言に従って、「ごめんよ、がまんしてな」と桜に語りながら思い切って鋏を振るった。
切り落としてみると、蕾がたくさんついている。太い枝は、つくことはないだろうと思いながらも庭のあちこちに挿し木にした。ゴミとして捨てるのは忍びないと思ったからだ。挿し木にするときに、地面に深く差し込むために、小枝をたくさん払ったが、それらにも蕾がたくさんついていた。小指大の枝から箸や腕くらいの長さのものまで区々(まちまち)だが、それらもゴミにはしたくないな、と思い、待てよ、花瓶に生けたらどうかなと思って、妻を呼んで相談した。妻は、居間から私がしていることをジッと見ていたらしく、「何を一所懸命しているのかと思った」そうだ。
妻も賛同したので、細くて短めの枝は輪ゴムで束ねて、コップや瓶やらに生けてみた。なんと、翌日からつぼみが膨らみ開花しだしたではないか。それからは、毎日、徐々にか急にか、見るたびに花開いて行くではないか。
しばらくジッと見ていれば、スローモーション撮影のように開花していく様子を観察できるかな、と思って試みたが、辛抱が続かなかった。ビデオ撮影しておけばよかったかな、とあとで思ったが、そんなに長時間撮影するビデオカメラは残念ながら持ち合わせがない。
ということで、今年の花見は名所に出向くことなく、生け桜を居間で観賞することにしたが、これが、名所で満開の桜を愛でるよりも満足させてくれることに気がついて、とてもうれしくなった。これからは、毎年、そうしようと思う。
小枝をあり合わせの空き瓶にこんな風に生けてみました |
勢いよく開花しています |
とても可愛らしく、いとおしく思い、つい、同じような写真も撮ってしまいます
|
いよいよ満開に近づいていきます |
中ぶりの枝は、こんな風に投げ入れ調です |
少し大ぶりの枝は花瓶に詰め込めるだけ詰め込みました |
満開です |
実に見事です。満開になってくれて、ありがとう。 |
ウオッカグラスに蕾を入れておいたら開花しました。
なんと、けなげなんでしょう。感動しました.
|
枝を剪定した山桜です。電線に引っ掛かりそうです |
染井吉野と違って葉も同時に開きます |
ほぼ満開です。
染井吉野とちがって、花だけがこんもりと枝を覆う
ことはないので、桜の満開という雰囲気はないか
もしれませんが、それはそれで美しいものです。
|
2階の部屋から見た山桜です。この部屋で花見ができます。
|
でも、やっぱり、桜を見に外出しました。お気に入りの場所ですが、10数年前に比べると桜の木がとても少なくなりました。とくに、この数年にかなりの数が枯れてしまったようです。寂しい思いです。
0 件のコメント:
コメントを投稿