2015年7月2日木曜日

ギリシャの経済危機と日本の債務残高-財政健全化計画と安保法案は矛盾する政策

ギリシャの経済危機が報じられている。

NHK News Web によれば、ギリシャが抱えている債務残高は、今年3月末時点で、日本円にして約42兆円(3130億ユーロ)に上る。債務の内訳は、IMF(国際通貨基金)に210億ユーロ余、ヨーロッパ中央銀行に270億ユーロ余、EU=ヨーロッパ連合に約1840億ユーロだ。

債務残高が大きいことに加えて、返済期日が迫っていることも、ギリシャ経済を危うくしている。これもNHK News Web によれば、IMFへの15億4000万ユーロ余(2070億円)の返済は期日の30日になっても実行されずに、債務「延滞国」扱いとなった。来月13日にも約4億5000万ユーロを返済しなければならない。加えて、14日には、およそ8400万ユーロ分の円建て国債、いわゆる「サムライ債」の償還期限を迎えるほか、20日には、ヨーロッパ中央銀行が保有する国債の償還で、およそ35億ユーロを返済しなければならない。さらに、来月中旬から下旬にかけて合わせて8億ユーロに上る国債の利払いも控えているほか、8月にもヨーロッパ中央銀行に対し、およそ32億ユーロの支払いもある。

要するに、ギリシャは借金まみれの国ということだが、日本も債務残高が1,000兆円を超えているのだから、借金まみれということでは同じだ(下の表:財務省資料)。


ギリシャと違うところは、債務のほとんどが国債と地方債で、それらを購入しているのがほとんど日本国内の金融機関であるということだ(下の表:日本銀行調査統計局2015年6月29日発行の参考表から抜粋して作成)。

(注1) 国債等は、「国庫短期証券」「国債・財融債」の合計。また、国債等は、一般政府(中央政府)のほか、公的金融機 
    関(財政融資資金)の発行分を含む。
(注2) 金融仲介機関は、預金取扱機関、保険・年金基金、その他金融仲介機関から構成されるが、*ではその他金融仲
    介機関のうち公的金融機関を除いている。
(注3) その他は、「非金融法人企業」「対家計民間非営利団体」「非仲介型金融機関」の合計。
中でも、中央銀行(日本銀行:日銀)の購入比率が26.5%と大きい。日本政府が国債を発行して、それを日銀が購入して、日本政府が日銀に金利を支払う。素人には、その仕組みがイマイチ理解できないが、政府が支払う金利は税金だから、結局は国民が金利を負担することになる。何か、他人の金を貸したり借りたりして政府と日銀がマネーゲームをして遊んでいるような感じだ。まあ、他人の金だから気にしないで動かせる、という感じかもしれない。本当は身内の大切な金を預かっているんだが、そういった感覚は全くないんだろうな。

外国や国際金融機関から多額の借金をしていれば、ギリシャのように返済期日までに約束通りに返済しなければ大事になるし、借金返済のために借金をするということも、そう簡単には許してくれないだろうが、国内で政府と貨幣を製造する中央銀行が、ナアナアでやっているから、多額の返済をしながら多額の借金をするという自転車操業が可能になっているのだろう。

財政健全化計画とやらで、2020年までに赤字から脱却すると大見得を切ったが、せいぜいそれくらいか、という感じだ。確実にできることは、消費税増税と社会保障費の削減だけで、経済成長戦略などは期待だけだから、債務残高が激減するわけでも国民生活が豊かになるわけでもない。

いつでも戦争ができる国にすることを熱望している内閣なら、当然のことながら軍事関係に予算をつぎ込もうとするだろう。艦船や航空機、車両、それらの燃料、諸々の軍事システム、人員等々にかかる費用は莫大になる。

エコだ省エネだとか何だかんだといっても、軍用の艦船や航空機、車両などに費やされる燃料が少しばかりでも増えれば、高度な技術を用いたハイブリッドや電気自動車で燃費を競い合っていても、それで節約できる石油の国内消費量などは何の効果もなくなる。常に臨戦態勢を整えておくということは、膨大な量のエネルギー源を消費することであり、究極の反エコ、反省エネであるということだ。

こう考えると、財政健全化計画と安保法案は、本来なら真っ向から対立する政策ということになる。そのことに知らんぷりして政策を進めようとする安倍内閣は国民を愚弄しているということである。そして、そのことに気づかない国民は、全くもっておめでたい、と言わざるを得ない。

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